ISO 45001 について

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労働安全衛生マネジメントシステム ISO 45001

「社会福祉法人 松美会 アイユウの苑」は、「社会福祉法人」「特別養護老人ホーム」「在宅介護サービスの複合供給体」として、2022年2月7日、日本で初めてISO 45001の認証(審査登録)取得を実現しました。

ISO 45001 とは

ISO 45001は、労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS:Occupational Health and Safety Management System)の国際規格です。

労働安全衛生に関する取り組みの必要性は、1990年代にはじまりましたが、国際的な規格の発行には至りませんでした。その後、1996年に英国規格協会から労働安全衛生マネジメントシステムに関する国際規格(BS8800)を発行されると、国際的な規格のニーズが高まりました。1999年には、はじめて国際的な規格として発行されたOHSAS18001をガイドラインとし、各国で労働安全衛生マネジメントシステムの認証制度が誕生しました。こうしたニーズの高さを受け、ISOで初の労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格として開発が進められました。

当該分野では、OHSAS 18001の他、厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」や中央労働災害防止協会、建設業労働災害防止協会などの業界が定めるガイドラインをはじめ、多くの標準(規格類)が既に存在しており、ISO 45001はそれら従来の法令や規制と矛盾しない、かつ、労働者の安全を第一とした規格とするべく議論が進められて、2018年3月12日(月)に発行されました
ISO 45001は、PDCAサイクルを回して継続的な改善を実施し、働く人の労働に関連する負傷と疾病の予防および安全で健康的な職場の提供を達成するための仕組みとその運用を要求しています。

労働安全衛生マネジメントシステム ISO 45001:2018 要求事項

  • 4 組織の状況

    4.1 組織及びその状況の理解
    4.2 働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の理解
    4.3 労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲の決定
    4.4 労働安全衛生マネジメントシステム

  • 5 リーダーシップ及び働く人の参加

    5.1 リーダーシップ及びコミットメント
    5.2 労働安全衛生方針
    5.3 組織の役割、責任及び権限
    5.4 働く人の協議及び参加

  • 6 計画

    6.1 リスク及び機会への取り組み
    6.2 労働安全衛生目標及びそれを達成するための計画策定

  • 7 支援

    7.1 資源
    7.2 力量
    7.3 認識
    7.4 コミュニケーション
    7.5 文書化した情報

  • 8 運用

    8.1 運用の計画及び管理
    8.2 緊急事態への準備及び対応

  • 9 パフォーマンス評価

    9.1 モニタリング、測定、分析及びパフォーマンス評価
    9.2 内部監査
    9.3 マネジメントレビュー

  • 10 改善

    10.1 一般
    10.2 インシデント、不適合及び是正処置
    10.3 継続的改善

ISO 45001は、『労働災害など、危険源を排除する仕組み構築のためのガイドライン』であり、組織の労働環境(労働者の健康増進、快適な職場 環境づくりなどの事業場の安全衛生水準の向上)を改善するための仕組みです。ISO 45001を企業が遵守することで、組織の労働環境の現状を把握し、 労働安全衛生リスクを低減し、従業員が安全に働くことができる労働環境への改善につながります。

社会福祉法人 松美会 アイユウの苑のISO 45001の具体的取り組み

私たちは、これまでISO 9001をツールとして、「顧客満足から顧客感動へ」サービスの質を維持し、継続的に改善することで「如何にご利用者様に満足していただけるか」に全力で取り組んできました。
ご利用者様に満足していただけるサービスを提供するためには、質が高いと実感していただけるサービス提供をしなければなりません。そのサービス提供をするのは職員であることから、より良いサービス提供をするためには、サービス提供する職員の仕事満足度が高いことが求められます。職員の仕事満足度が高いことがより良いサービス提供を可能とし、その結果としてご利用者様のサービスに対する満足度が高まると考えています。
これらのことから、私たちは、「職員を大切にする法人」として、職員が働きやすい・働きがいのある職場づくりに尽力しており、職員仕事満足度調査・共通職員意識調査を年1回実施し、職員の仕事満足度が高まるよう継続的な改善に取り組んでいます。
また、平成31年より「地域密着型介護老人福祉施設アイユウの苑しおはま」が下関市のノーリフティングケアモデル事業所と選定されたことを機に、特別養護老人ホームアイユウの苑、アイユウの苑ゆめタウンにおいてノーリフティングケア(持ちあげない、引きずらない、抱え上げないケア)の取り組みを始めました。取り組み開始から3年が経ち、ノーリフティングケアが定着し、職員の身体的負担軽減の効果も実感できるようになってきました。

アイユウの苑における労働安全衛生マネジメントシステム

iso図解

目的(職員ニーズを満たす安全・安心の職場をつくるために)を達成するために、①リスクと機会を評価し、②危険源を特定し、③それらに対応する取り組みを計画し、④取り組みを実行し、⑤取り組みが機能しているかを評価し、⑥取り組みの結果としての「安全・安心の職場づくり」の取り組みが全体としてより良い循環となるように継続的改善を推進していくシステムであり、法人内の内部監査員による年2回の内部品質監査や審査登録機関による1年ごとの定期維持審査、3年ごとの更新審査による外圧によって、システムの恒常性が担保されます。

  1. 1.職員仕事満足度調査

    平成18年度から職員の仕事満足度を把握し、改善する取り組みを継続して実施しています。40の設問(平成25年までは26問)について4段階評価を全職員から無記名で回答を得ており、評価の低い設問に対しては、改善に向けた取り組みを実施しています。職員の仕事満足度を高めることが、より良いサービス提供を実現することにつながり、結果としてご利用者様の満足度向上につながると考えています。

  2. 2.ストレスチェック

    毎年ストレスチェックを行い、健康リスクAとして「仕事の量的負担」、「仕事のコントロール度」、健康リスクBとして「上司の支援」、「同僚の支援」を測定しています。その結果を個人、職種、サービス事業所ごと把握し、前年度やサービス事業所間などと比較分析することで働く職員のストレス具合を把握し、改善に向けた検討材料にしています。

  3. 3.職場環境の他者点検(危険個所点検)

    すべての拠点において環境監査を行っています。環境監査の目的は、職員にとっては、安全・安心・快適に仕事ができる環境を、ご利用者様にとっては安全・安心・快適に暮らせる(過ごせる)環境を、ご家族にとっては安全・安心・快適と思っていただける、感じていただける環境を整備するために行うもので、他部署の職員を監査員として招くことで自分達では見えづらくなっている悪環境を改善するために毎年実施しています。
    監査が終了すると、改善箇所の報告書が提出され、改善が完了するまで(改善しない場合もあり)監査が継続します。指摘事項に対しておおむね速やかに改善されています。現状のまま(保留分)については、大掛かりな修繕などコストがかかるものもあり、法人として優先順位をつけて対応することとしています。

  4. 4.ノーリフティングケア

    2019年下関市が高知県の取り組み(高知県は2016年全国に先駆け「ノーリフティングケア宣言」を行っており、ノーリフティングケア=持ち上げない・抱え上げない・引きずらないケアを実践することで、介護する側、される側双方の健康と安全を守るケアを推進している)から「下関ノーリフト宣言」の実現を目指すこととなり、モデル事業所の公募が行われました。ノーリフティングケアの導入により「介護職場の環境を劇的に改善できるのではないか」、「介護のイメージを刷新できるのではないか」との想いからモデル事業所の公募に応募し、「地域密着型介護老人福祉施設アイユウの苑しおはま」が下関市のノーリフティングケアモデル事業所に選定されたことを機に、ここを含む3つの特別養護老人ホームにおいてノーリフティングケアの取り組みを始めました。
    これまでの人力で「抱え上げるケア」から機器を使った「抱え上げないケア」への転換は介護現場の大きな変革であり、この変革を推進するためには「①目的の理解・共有」「②導入体制の整備」「③技術の習得」の3つがポイントと考えました。ノーリフティング機器を導入すればよいのではなく、全職員が「抱え上げるケアをしない」ことで「安全・安心の職場をつくる」ことを目指して取り組みました。
    導入後は、毎月開催する委員会において導入進捗状況の確認や課題を洗い出し、定着と効果の確認のため3つの調査(①職員腰痛調査②NLC運用状況定期アンケート③利用者状態変化調査)を継続実施しています。取り組み開始から3年が経ち、ノーリフティングケアが定着し、職員の身体的負担軽減の効果(不良姿勢によるリスクの低減)も実感できるようになってきました。さらには、ご利用者様の身体状況が改善(座り姿勢の安定など)されるケースもありました。

  5. 5.労働安全衛生リスクの管理(すべての事業所における「危険源」の洗い出し)

    ISO 45001では、職員の安全・安心を阻害している要因を「危険源」として洗い出し、対応策を講じることが求められています。松美会のすべての事業所において明確化された危険源は44あり、のべ196にもなりました。たとえば、入浴介助中の熱中症リスク、相談業務中の精神的ストレス、送迎業務中の交通事故リスク、コロナ禍における感染リスクなどその内容はさまざまです。これらの危険源に対して、労働安全衛生リスクの管理として、その起こりやすさと影響規模を踏まえ、優先順位を付けて対応しています。事業所ごとに、職員一人ひとりが自分たちの働く職場に潜む危険源を考え、把握し、それぞれの危険源に対して具体的な対応策をたて、取り組み、その結果を評価するという一連の流れは、職員一人とりの安全衛生意識の向上にもつながったと考えています。

生産年齢人口の減少は、ますます介護人材の確保を難しくします。今いる職員のみなさんが歳を重ねても安全に・安心して働き続けることができる職場づくりが求められていると考えます。
私たちがこれまでご利用者様に向けてきた目を、職員にも向けることをとおして、「職員の仕事満足度を高め、職員の安全・安心を確保することをカタチにしたい」「職員が安全に安心して働き続けることができる職場環境を“仕組み”としてつくりたい」との思いから労働安全衛生マネジメントシステムISO 45001の認証取得をし、システムの維持・継続的改善を進めています。「職員の安全・安心が顧客満足・顧客感動をつくる」職員が安全に、安心して働き続けることができることが、サービスの質を維持し、高めていくことにつながり、結果としてご利用者様の満足度向上につながると考えています。

労働安全衛生マネジメントシステムの維持・更新・拡大の状況

労働安全衛生マネジメントシステムの維持・更新・拡大の状況を見る

2021年8月25~27日 第1段階登録審査
2022年1月11~14日 第2段階登録審査
2022年2月7日 労働安全衛生マネジメントシステム 審査登録
2023年2月6日 第1回 労働安全衛生マネジメントシステム維持審査・拡大審査 登録継続・登録拡大 幼保連携型認定こども園
2023年9月11日 第2回 労働安全衛生マネジメントシステム維持審査 登録継続

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