ISO9001
品質マネジメントシステム ISO 9001
社会福祉法人 松美会 アイユウの苑 は、「社会福祉法人」「特別養護老人ホーム」「在宅介護サービスの複合供給体」として、日本で初めてISO9001の認証(審査登録)取得を実現しました。
ISO とは
International Organization for Standardization(国際標準化機構)の略称で、アイ・エス・オ-/アイソ/イソと読みます。スイスのジュネーブに本部を置く、1947年に設立された非政府機関であり、国際的に通用する規格を制定する活動を行っており、ISOが制定した企画をISO規格といいます。ISO規格は国際的な取引をスムーズに行うために、製品やサービスに関して「世界中で同じ品質、同じレベルのものを提供できるようにしましょう」という国際的な基準であり、制定や改訂は日本(日本からは『日本工業標準調査会(JISC)』が参加)を含む世界162か国(2017年現在)の参加国の投票によって決められます。身近な例として、非常口のマークやカードのサイズ、ネジといったISO規格が挙げられます。これらは製品そのものを対象とする「モノ規格」です。
一方、製品そのものではなく、組織の品質活動や環境活動を管理するための仕組み(マネジメントシステム)についてもISO規格が制定されています。これらは「マネジメントシステム規格」と呼ばれ、品質マネジメントシステム(ISO9001)や環境マネジメントシステム(ISO14001)などの規格が該当します。つまり、「ISOマネジメント規格」とは、“ISOが策定したマネジメントシステムに関する規格”ということになります。
ISO 9001 とは
国際標準化機構(ISO)にて1987年に制定された品質システムの国際規格です。
その後1994年に一部改正、2000年末にISO9000シリーズ規格が改正され(2000年版)品質保証システムの国際標準規格から品質マネジメントシステムの国際標準規格として大きく生まれ変わりました。「製品品質を保証するための規格」から「品質保証を含んだ、顧客満足の向上を目指すための規格」へと変わりました。2008年11月には、曖昧だった部分を明確にする目的で<追補>が行われ、改正された2008年版が発行されました。さらに、2015年11月には、統合化と汎用化が進められた2015年版が発行されました。
ISO9001は、お客様に提供する製品、サービスの品質を継続的に向上させていくことを目的とした品質マネジメントシステムの規格です。単に「良い製品を作ることや良いサービスを提供すること」だけではなく、「お客様の要求する製品を作ることやお客様の要求するサービスを提供するためのシステムを管理すること」であり、製品やサービスの質を管理するための「仕組み=システム」を規格にしたものです。
お客様の要求を満足させる製品やサービスを継続的に提供するためのもので、その事業所が必要な能力(品質マネジメントシステム)を備えているか、それが適切に機能しているかどうか、かつ「顧客満足の向上」を推進しているかをチェックする基準であるといえます。
お客様にとって、ISO9001を認証している組織は、「顧客の要望を満たす製品やサービスを提供し、さらに顧客満足の向上を目指す『信頼できる組織』である」ということができます。「品質が確保されていることがその製品・サービスを利用しなくても顧客あるいは第三者にわかるようにするための活動である」ともいうことができます。

社会福祉法人 松美会 アイユウの苑では、1998年8月にISO9001認証取得推進委員会を発足させ、外部のコンサルティング会社には頼らず、すべて職員が中心となって要求事項の解釈、業務の標準化、品質マニュアルの作成などの準備を進め、1999年10月1日付けで、特別養護老人ホームアイユウの苑、ショートステイ、デイサービス、ホームヘルプサービス、在宅介護支援センターの複合型施設を対象にISO9001の認証(審査登録)取得を実現しました。
これまで、1回/年の維持審査を14回、1回/3年の更新審査を6回受審、その間2000年版への移行審査、2008年版、2015年版への変更審査に加え、新たなサービスの拡大審査を受審してきました。
平成30年7月31日現在、社会福祉法人松美会において、『住宅型有料老人ホームアイユウの苑しおはま』『しおかぜの里こども園』を除くすべての事業所においてISO9001の認証(審査登録)取得をし、お客様満足を踏まえた、品質マネジメントシステムの維持および継続的改善を推進しています。
品質システムの維持・更新・拡大の状況
1998年8月1日 | ISO認証取得推進委員会 発足 |
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1999年10月1日 | 品質保証システム国際標準規格ISO9001登録審査 審査登録 特別養護老人ホーム・ショートステイ・デイサービス・ホームヘルプサービス在宅介護支援センター |
1999年11月1日 | ISO推進委員会 発足 |
2000年4月14日 | 第0-1回 品質システム維持審査 登録継続 |
2000年10月27日 | 第0-2回 品質システム維持審査・拡大審査 登録継続・登録拡大 訪問入浴・居宅介護支援・要介護認定調査・下関市委託事業 |
2001年11月9日 | 第0-3回 品質システム維持審査・2000年版移行審査 登録継続・移行 |
2002年10月7日 | 第1回 品質システム更新審査・拡大審査 登録更新・登録拡大 訪問看護 |
2003年12月15日 | 第1-1回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続 |
2004年11月15日 | 第1-2回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続 |
2005年9月20日 | 第2回 品質マネジメントシステム更新審査 登録更新 |
2006年10月16日 | 第2-1回 品質 マネジメントシステム維持審査・拡大審査 登録継続・登録拡大 グループホーム・居宅介護支援事業所 |
2007年10月1日 | 第2-2回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続 |
2008年7月22日 | 第3回 品質マネジメントシステム更新審査 登録更新 |
2009年7月21日 | 第3-1回 品質システム維持審査・2008年版変更審査、拡大審査 登録継続・登録拡大 地域密着型介護老人福祉施設・ショートステイ |
2010年7月5日 | 第3-2回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続 |
2011年6月21日 | 第4回 品質マネジメントシステム更新審査 登録更新 |
2012年7月3日 | 第4-1回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続 |
2013年7月2日 | 第4-2回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続 |
2014年7月15日 | 第5回 品質マネジメントシステム更新審査 登録更新 |
2015年7月7日 | 第5-1回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続 |
2016年7月4日 | 第5-2回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続・登録拡大 地域密着型介護老人福祉施設・小規模多機能型居宅介護 |
2017年7月31日 | 第6回 品質マネジメントシステム更新審査・2015年版移行審査 登録更新・移行 |
2018年7月18日 | 第6-1回 品質マネジメントシステム維持審査・拡大審査 登録継続・登録拡大 地域包括支援センター |
2019年7月29日 | 第6-2回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続 |
2020年7月18日 | 第7回 品質マネジメントシステム更新審査 登録更新 |
社会福祉法人 松美会 アイユウの苑のISO9001の具体的取り組み
社会福祉法人松美会は、特別養護老人ホームアイユウの苑を核に、様々な居宅サービスを地域密着の生活支援サービスとして捉え、高齢者介護サービスの提供を行っています。平成11(1999)年10月、介護保険制度における契約による選択される福祉が見えていたころ、スタッフの能力に左右されやすい、品質そのものがあいまいな介護サービスを、「24時間365日均質かつ良質な、選択される介護サービスとして、利用者満足を追及し、実現できるシステムとして構築したい」との考えから、ISO9001の認証取得を実現しました。
ISO9001は、品質マネジメントシステムとして、品質方針・品質目標を設定し、品質計画・品質管理・品質保証・品質改善を実施することを求めており、法的要求に加え利用者の要求を満足するサービスを提供する能力を実証し、システムの効果的な運用を通じて、継続的に改善することで利用者満足を向上することが可能となります。
「サービスの質」=「スタッフの質」ではなく、「サービスの質」=「仕組み」×「スタッフの質」と考えています。ここでいう「仕組み」が品質マネジメントシステムであるといえます。あたりはずれがなく常に均質であることが大切です。
理念を実現するために、品質方針・品質目標を掲げ、利用者とのコミュニケーションを図り、標準化したマニュアルに基づき、スタッフの管理・サービスの管理について、リスクマネジメントを踏まえ、計画をたて、そのとおり実施し、結果を確認し、分析し、処置を行い、改善するというPDCAサイクルを回しながら、継続的改善を推進していくシステムであり、法人内の内部監査員による年2回の内部品質監査や審査登録機関による1年ごとの定期維持審査、3年ごとの更新審査による外圧によって、システムの恒常性が担保されます。
1.利用者とのコミュニケーション
利用者とのコミュニケーションについて、たとえば、サービス利用中または利用後に、「ご家族様への手紙」にアンケートはがきを添えるとともに、施設内、ホームページ内の「ご利用者様・ご家族様・地域の皆様の声の掲示板」を活用し、顧客満足のための苦情対応を行っています。
2.標準化したマニュアル
標準化したマニュアルについて、「標準があるから個別化ができる」と考え、誰がやっても自分たちで決めたレベルのサービスの質が保証できるよう、そのことに関わるすべてのスタッフで吟味し、サービス手順を可視化しました。標準化したマニュアルの存在は、新人職員教育において、短期間の戦力化が可能となり、職員の安心にもつながります。また、マニュアルや帳票は、最新版管理を行っています。
3.スタッフの管理
スタッフの管理について、求める人財像を示し、必要な力量を明確化し、マニュアルに基づくサービスごとのチェックリストにより一人ひとりの力量を把握するとともに、勉強会実施後に行う理解度テストの結果などを教育・訓練に反映させています。また、職員満足が利用者満足につながると考え、全職員を対象に、職員仕事満足度調査を年1回実施し、職員仕事満足度を高める取組みを行っています。
4.サービスの管理
サービス管理について、たとえば特別養護老人ホームアイユウの苑において、スタッフ側からは、勤務時間帯ごとの日課表により、職員が行なうべき必須業務を時間ごとに示し、決められた時間に決められたサービス提供を義務づけています。利用者側からは、個別サービス計画表として、利用者に提供するサービスを時間ごとに示し、決められた時間に決められたサービスが受けられることを約束しました。このことで、スタッフが提供できるサービス総量と利用者に提供を約束したサービス総量の比較が可能となり、自分たちで決めたサービスの質保証のために必要な配置スタッフ数を明確にしています。
5.リスクマネジメント
リスクマネジメントについて、介護事故は起こるもの、起こった事故から学ぶものとして、個人の責任ではなく、組織全体で取り組むべきものとし、サービスの質向上がリスクマネジメントにつながると考えています。ひやりはっと報告書の最多提出者表彰制度やスタッフ一人ひとりのリスクを感じるセンスを高める危険予知トレーニングの取組みに加えて、施設内危険箇所点検などを実施しています。
6.内部品質監査・定期維持審査・更新審査
内部品質監査について、それぞれの部署が運営管理している品質マネジメントシステムがどのような状況であるかを評価する仕組みであり、垣根を越えた議論の場として、お互いの部署を客観的に見ることで部署間の風通しが良くなり、組織間連携力が高まっています。また、これまでに14回の定期維持審査と6回の更新審査、9つの新規事業に対する拡大審査を受審し、システムの維持・拡大・向上に努めています。
介護報酬改定、ご利用者さまの重度化、介護人材の確保難などさまざまな課題と向き合い、これらの経営環境の変化に迅速に対応し、ご利用者満足を満たす良質なサービスを提供し続けることで組織の継続的発展を実現しなければなりません。
私たちのお客様は誰で、そのお客様は何を価値あるものと考えるのか、期待されていることを行えているのか、という視点から私たちの成果をより具体化し、その成果をあげなければなりません。
ISO9001は、お客様満足を実現し、これらの課題を解決できるよう、質保証、質改善をしながら、コストパフォーマンスを高め、スタッフが集い、学び、育つ「理想の職場づくり」をシステマティックに実現することができるツールであると考えています。業務を標準化し、仕組みを整備し、PDCAサイクル(計画→実施→評価→改善)を回わすことで、サービスの質の継続的な改善が可能となり、ご利用者さま、ご家族さま、地域のみなさまに安心をお届けするとともに、職員にとっては働きやすい職場づくりにつながっていると実感しています。
アイユウの苑における品質マネジメントシステム
