Episode

心に寄り添うことで見えた
本当の気持ち。

エピソード

3

シャンデリアの画像

家族の絆が
起こした奇跡

施設に入所して10年になるKさんが
99歳の誕生日を迎える直前、
娘様から話を頂きました。
Kさんの白寿のお祝いを、
ホテルで結婚式のような会場を貸し切り
親族揃って盛大にお祝いしたいというもの。

ですがKさんは最近認知症も進行してきて
娘さんのお顔も分からなかったり、
歩行もままならず移動は車いす、
食事を食べることでさえも
職員のお手伝いがいる状態でした。

ホテルのお料理の画像

「長い時間の外出にご本人様の体力が耐えられるか」
「どうにかご家族の想いを実現したい」
「ご本人様の喜ぶ姿が見たい」
職員はその一心で、
実現に向けカンファレンスを実施。
会場までの移動手段、式の段取りの確認、
そこで提供される食事の形態、
トイレの場所や設備、付き添う職員、
当日までの健康管理、
その他不測の事態に対する対処方法の確認など。

入念に準備を行い、
当日会場に到着すると入り口には
40名を超える親族のお出迎えがありました。
Kさんのお席は、
会場の前方の一段高いステージ上。
立ち上がることさえ少し難しいKさんを
職員2名で両脇から介助しながら
ようやく着席したその時です。

杖の画像
福祉車両の画像

シーンと静まり返った会場で
Kさんが一言。
「今日はお集まりいただきありがとうございます。」

認知症が進行し、
ここが何処なのかさえも
おそらく分かっていないと思っていた一同は
「わー」と歓声をあげました。

式が終わりKさんを中心に
親族全員で記念撮影をしましたが、
なんとKさんの横には恐れ多くも
私たち職員が案内されました。
「長年、母のお世話をして頂いている職員さんは、
親族同様もう家族ですよ」
お手伝いのつもりで同席した私たちにも
席やお食事を準備していただき、
家族の一員として迎えてくださった
娘様の心遣いに涙が出ました。

マイクの画像

認知症が進行し
娘様のお顔さえ分からず
会話も難しくなってきたKさんが、
懐かしい顔を前に立派にご挨拶された姿、
それを温かく受入れ、
白寿を盛大に盛り上げる
素敵なご家族に感動し、
私たちもしあわせな時間を
過ごすことが出来ました。

カメラの画像
桜の花の画像

エピソードスタッフ

T.K.(生活相談員 / 特別養護老人ホーム)

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