介護度が上がったら「住み替え」も選択肢に
ご家族やご自身の将来を考え、「どこで暮らすか」を選ぶことは大きな決断です。
最近は市内でも「住宅型有料老人ホーム」が増え、元気なうちから入居される方が多くなっています。自由度が高く、自分らしい生活を続けられる点は「住宅型有料老人ホーム」の大きな魅力です。しかし、その一方で、介護度が上がったときに「今のままで良いのだろうか」と感じるご家族も少なくありません。
「住宅型有料老人ホーム」の多くは、介護サービスを外部の事業所と契約して受ける仕組みです。そのため、介護職員の配置数や夜間対応の体制は、どうしても「特別養護老人ホーム」に比べて限られてしまいます。また、厚生労働省の検討会でも、住宅型ホームにおける「囲い込み」や「ケアマネジャーの変更強要」といった問題が取り上げられ、今後は契約やサービス提供の透明性を高める方向で制度見直しが進められています。つまり、利用者が「自由に選び、自分に合ったサービスを受ける」ことが何より大切だということです。
一方、特別養護老人ホームは、要介護3以上の方を対象に、日常生活すべてを支える体制が整っています。24時間体制での介護、看護職員による健康管理、協力医療機関との連携、そして看取りに至るまでの支援。「重度になっても安心して暮らし続けられる環境」が整っているのが特養の大きな強みです。また、介護保険制度に基づいた運営のため、費用面でも比較的安定しており、長期的な生活設計を立てやすいという利点もあります。
もちろん、住宅型ホームでの暮らしに満足されている方も多くいらっしゃいます。重要なのは、「今の自分の介護状態に合った環境を選び直すこと」を前向きにとらえることです。特養への住み替えは“後退”ではなく、“安心を得るための一歩”です。重度化してから慌てて探すのではなく、元気なうちから選択肢を知り、必要になったときに迷わず決断できるように備えておくことが大切です。
松美会が運営する「特別養護老人ホームアイユウの苑」は、要介護3以上の方が安心して暮らせるよう、24時間体制の介護・看護・医療連携を整えています。
・介護職員は常にフロアに配置し、夜間も見守り体制を維持
・嘱託医・看護職員による健康管理と緊急時の迅速対応
・ご本人とご家族の希望に寄り添う年間30件を超える「看取りケア」の実践
・介護職員の8割が介護福祉士
・季節行事や地域ボランティアとの交流など、“暮らし”を大切にした支援
以下は、年に一度のアンケートでご利用中のご家族様から頂いたご意見の一部です。(実際の原文まま)
******************
「以前の施設とは雲泥の差です。いつも本人の事を大事に考え頂いているのが、家族の目からもはっきり違うなと、アイユウの苑さんに入所できて、とても満足しています。昨日も、若い同僚が「私が入るならアイユウの苑」と、力説していました」
「手紙が添えられていたり、気使いをして下さっていると感じています」
「前の施設では、人見知りがひどく自分から話すことがなかった。ここでは、担当の人にあだ名を付けたり、自分の事を話すとの事。嬉しいです。また、入ってすぐのころは塗り絵などしていたそうで、これも嬉 しいです。ありがとうございます」
「入所前の施設は病院であったため、やはり介護施設ならではの行き届いた配慮に感謝しています。カラオケ大会の試みは歌が好きだった母にとって一番の楽しみになっている事だと思います」
「本人に丁寧に接していただいてありがたいです。病院と連携しているので、体調変化にも医師の指示のもと、看護職員の方が対応して下さるので安心しております」
「前の施設では、表情も辛そうな感じですごく心配でしたが、アイユウの苑に入所してから感情も良く出ていて会話もすることが出来るのが伝わり安心しています。よくして頂きいつもありがとうございます」
「前の施設では連絡の不備があり困惑した記憶がありました。当施設の連絡網は大変良いと思います」
******************
ここで頂いたご意見からもお分かりいただけます様に、重介護になっても“生活の質”を守る支援こそが、特養の最大の強みです。私たちの使命です。
私たちは、「住宅型有料老人ホーム」も大切な介護の選択肢のひとつだと考えています。しかし、介護度が進んだ際に必要な支援が十分に届かないまま、費用だけがかさむケースも見受けられます。そうした時には、「特別養護老人ホームへの住み替え」という選択を、ぜひ前向きに考えてほしいと思います。実際、松美会では「住宅型有料老人ホーム」から転入された方の多くから、「もっと早く相談すればよかった」とのお声をお聞きします。住み替えは“終わり”ではなく、“より安心できる暮らしへのステップ”です。私たちは、介護が必要になっても地域の中でその人らしく生きられるよう支援を続けています。
「住宅型有料老人ホーム」と「特別養護老人ホーム」は、どちらが優れているということではなく、介護度・生活の希望・家族の状況に合わせて選ぶことが大切です。「住宅型有料老人ホーム」も「特別養護老人ホーム」も、それぞれの良さと役割があります。
「住宅型有料老人ホーム」は“自立期の安心”、「特別養護老人ホーム」は“重介護期の安心”。
それぞれの役割を正しく理解し、将来を見据えた住まい選びをしていただければと思います。松美会はこれからも、下関市・彦島地域で、「介護が必要になっても、安心して暮らせる居場所」を提供し続けてまいります。
特別養護老人ホームアイユウの苑 主任生活相談員 高下康司