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特別養護老人ホームと(住宅型)有料老人ホームの住み分け

特別養護老人ホームと住宅型有料老人ホームは、それぞれが持つ機能は違えど、報道等で一般的に老人ホームとしてひとくくりにされることが多く、私たち業界に携わる者としては戸惑う場合があります。
ひとくくりにされやすい老人ホームとして次の4つがあります。

①特別養護老人ホーム(以下、特養)
②介護付き有料老人ホーム(以下、介護付き有料)
③住宅型有料老人ホーム(以下、有料)
④サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)    の4つです。

 

機能としては、大きく2つに分類されます。
Aグループ
介護ありの①特養と②介護付き有料は、食事の提供、入浴や排せつの介護、掃除、洗濯などの家事、健康管理を行う施設で、社会福祉法人や医療法人が多く運営しています。

Bグループ
介護なしの③有料④サ高住は、安否確認、生活相談などが主な機能で、高齢者アパートとしての役割が近く、介護サービスが必要であれば外部の事業者と別に契約をする必要がある施設で、その多くは民間企業が運営しています。

以下は、一般的なそれぞれの施設の比較です。

また、利用料のしくみはおおよそ以下のとおりです。

このように、まだまだ介護の量が少ない方(介護をそれほど必要としない方)は、③有料や④サ高住の利用が適しており、介護量が多くになるにつれ、より多くの介護の提供体制がある①特養や②介護付き有料に移り住むことが、利用料金を適正に支払うことにもつながり得策となります。いずれ介護がより必要になる場合もあることを考慮すれば、すでに有料老人ホームに入居しているからずっと大丈夫という考え方には無理があると感じます。

私たちの特別養護老人ホームへ入所申し込みを受けている方の例です。
今回60名の方が期間中にお申し込みをされ、その内8名の方が現在市内の有料老人ホームにお住まい中で、特養への移り住みをご検討されているとのことでした。
その8名の方の直近3か月の介護サービス利用量を調べると以下のとおりとなりました。

介護保険では介護度に応じてサービスが使える金額=保険が効く量(支給限度額)が決められています。要介護3であれば、月に27,048単位(270,480円)、要介護4であれば30,938単位(309,380円)、要介護5であれば36,217単位(362,170円)です。それを超えて介護サービスを受ける場合、保険の効かない実費(10割)支払いが発生します。

今回の8名のうち、5名もの方が3か月の間保険の効かいない実費を支払い続け介護を受けているのが分かります。現状の介護度がその方にそぐわない(低い)のであれば市へ区分変更申請を行い適正な介護度へ変更(介護度をあげる)を依頼することもできますが、3か月もの間、介護度に変更がないということは、その介護度がその方にとって適正な介護度であるのかも知れません。それにも関わらず保険が効く量(支給限度額)を超えてまで介護サービスを受けなければならない現状は、すぐにでも①特養に移り住む必要が高いケースではないかと考えています。

また、今回の調査では、すべての③有料で実費支払いが3か月も発生しているケースが見られた訳ではなく、介護保険が効く量(支給限度額)の範囲内でサービスを留められているケースもいくつか見られました。

さらには、同じように今回期間中にお申し込みをされた方で、要介護3,要介護4、要介護5でも在宅で介護(デイサービスやホームヘルプサービス、ショートステイなど)を受けられながら暮らしていらっしゃる方の介護保険の利用量を確認すると下記の表のとおりであり、介護保険の利用量の平均は60%程度となっていました。

現在③有料や④サ高住にお住まいで、毎月の介護サービスの利用料が支給限度額を超えて利用を継続されている方は、①特養への移り住みをご検討されてみてはいかがかと思います。
介護保険を熟知してでもない限り、自分にあった施設探しは個人ではなかなか難しいです。もし現在ご利用されている施設と特養との料金やサービスの比較などご希望がございましたらご遠慮なくご相談頂けたらと思います。

特別養護老人ホーム
主任生活相談員 高下康司

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